子どもがピアノを習い始めてやめるまでのモラ夫の活躍

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faceless lady practicing on piano near music book in room
Photo by Charles Parker on Pexels.com

娘が小3のころモラ夫が、「そろそろピアノを習わせよう」と言いました。

きげんのいい時のモラ夫は、わたしに相談するかのような語りかけをします。

「そろそろピアノ習わせたいけど、どう思う?」

一見、ふつうの子育て中の夫婦の会話のように思えますが、パワーバランスがおかしいモラハラ家庭ではこれはたんなるポーズにすぎません。

「本人がやりたいんならいいんじゃないかしら。
でも、ピアノ習うならいずれアップライトピアノが必要になるだろうけど続くかな…。」

モラ夫の怒りを誘わないように細心の注意を払いながら、わたしが耳にした情報をふまえてちょいと意見を入れて返事をします。

けれどわたしの意見なんて求めてないモラ夫は、続くかどうかなんて考えなくていいから本人やりたいならGOだということでモラ夫の予定通りに話は進みます。

実際には経済的DVを受けていて日々の食費にも困っているころ。
内心はこうでした。

…また習いごと増やすって月謝どうなるの?ほかの習いごとと曜日かぶらない?

…ピアノ買うお金出すならもっと生活費出してほしい!

…てかどこにピアノ置くの?リビングせまいしうるさいよ?

本人は、多くの友だちがピアノを習っていることもあり興味があったらしく、また、小さいころから音楽でリズムを取ることが好きなようだったので、習うことには乗り気です。

小学生のピアノ教室なんて、だいたい近所にあるいくつかで選ぶからあるていど決まったところになりますよね。

だから、お友だちが通っているところをいくつかピックアップしてモラ夫に報告しましたが、案の定わたしのレポートなんて軽く受け流されます。

モラ夫がネットで調べて見つけたというのは、先生がほぼアーティストという、小学生の初心者向けとは思えない個人教室。

先生の経歴を見ると、音大卒はもちろん、ヨーロッパ留学経験あり、ピアニストとしてCDも発売していてコンサートやイベントにもちょくちょく出演しているという華やかな方。

本業ではないからか大々的に教室をやっているわけではないので気づかなかったけど、わりと家から近かったのです。

モラ夫は一流のモノや人にふれることが大好き。
嬉々として、なぜかまずひとりで見学に行って先生と話をして、もうここしかないと決めてきました。

もちろん、月謝もまわりのお友だちが行ってる教室より高い!

マンションの一室が教室なので、はじめての時はわたしが連れて行ったけど、ピアノは1千万円はくだらないというウィーン製のグランドピアノです。

ピアノなんて習ったことないし、楽譜も読めないわたしにはおそれ多くてアウェー感はんぱない。

「お母さんもいっしょに弾いてあげてください」と言われてもわからないし、家にあるのはまだ電子キーボードだし。

それでも娘はわりとスジがよかったのか、みるみる上達して1年もしないうちに先生からそろそろ生ピアノを…と進言されました。

電子ピアノと生ピアノではタッチが全然ちがうから、電子ピアノでいくのなら指導の仕方からちがってくるのだとか。

「一戸建てならグランドピアノがいいですね~、先日マンション住みの生徒さんでもグランド購入なさいましたよ。
よかったら中古で状態のいいピアノを紹介できます。
国産のアップライトでもよければ、50万円ぐらいでありますよ。」

ひえ~~~!!

世界がちがいすぎる!

よゆうがある家庭でもなければ、ピアノに本腰入れて打ちこんでいる子でもないのに!

さっそくモラ夫に先生にピアノ購入をすすめられたことを報告。

見栄っ張りなモラ夫だから先生からピアノを買うのかなと思いきや、やはりケチが勝ったようです。

「安い中古ピアノ探してみる」

そうしてモラ夫は超能力を発揮し、なんと16万円で掘り出し物の中古アップライトピアノを見つけてきて、それを購入しました。

しかも、そのお金さえモラ夫は出さず、わたしが管理している家のローンが引き落としされる口座の残高から出させられました。

その通帳にはモラ夫が毎月10万円、ボーナス時に25万円を入れるので、それより少し低いローン返済額の残金がちょっとずつ貯まっていくしくみになっていたのです。

もちろんわたしはその貯金に手をつけるなんてことはありませんでした。
だから気分的にはわたしが把握する唯一の家庭の貯金です。

そんなわけで、ピアノを買った月も平常通りの支出のモラ夫は、痛くもかゆくもないわけです。

ピアノは2階の子ども部屋に置くことになったので、玄関から入れて階段を上ることはムリだと言われてクレーンで2階窓から搬入することに。

狭小地なので窓の側にクレーンを停める敷地があるわけもなく…。
隣接する月極駐車場の2台分を空けてもらうべく、近所の2軒に菓子折り持って訪ねて小一時間空けてもらう約束まで取り付けました。

さらには、セレブな先生から

「メーカーはどちら?
参考までに、どちらでいくらぐらいのピアノを購入なさったの?」

という拷問のような質問の対応もわたし。

年に一回の調律の手配と立ち合いと支払いもわたし。

モラ夫の担当は、先生から案内されるピアノコンサートへ出かけて行って花束を渡したり、発表会で娘にドレスを買ってあげてその後の華やかな打ち上げパーティーに出席したりと美味しいところだけ。

それでも娘が楽しそうにピアノを弾いてるからまあいいやと思っていたけど…。

楽譜がブルグミュラーに入ってからむずかしくなり、同時に他の習いごともあり友だちと遊ぶ日も確保したいしと忙しくて練習の時間が取れなくなってきた娘…。

すばらしい先生からピアノを習っていることが誇らしくてしかたないモラ夫は、娘にピアノの練習をうながし、「楽しくやってるよね?」と圧をかけます。

娘は小さいなりに、パパに気を使ってか、「イヤ」だとか「しない」とかわがままを言うことはできません。

しかしある日ついに、わたしに本音を打ち明けてきました。

「ピアノ辞めたい…。でもピアノ買ったしダメだよね…。」

わたしはピアノを弾けないからわからないけど、小さいころ従姉妹がよく泣きながらピアノの練習をしていたのを見ていたので、ピアノを習うってすごく自己練習が必要で大変そうと思っていました。

ちょっと前まで、練習でなくても気が向くままに自由に楽しげにピアノを弾いてた娘が、今は先生に合格をもらうために弾く練習を苦しんでいるのか…。

しかも、そのころはちょうどモラハラ脱出を計画していたころで、ピアノの習いごとは懸念事項のひとつでした。

月謝が高いから払えないし、そもそもピアノを持って出れないから練習できないなら辞めるしかない。

だけど子どもにも極秘で家を出るのに、早めに先生に辞めると言わなきゃいけない問題をどうしたらいい?

そう悩んでいたころだったので、渡りに船といえばそんなタイミング。

モラ夫に娘の意向を伝えるのは気が重かったけど、もう家を出ると決めていたので、いろいろ今までできなかった思い切った行動もエエイ!な気分でやるようになっていました。

モラ夫は娘に引き留めるような声かけをしていましたが、娘が辞めたい気持ちを前面に出しているのを受け入れました。

なので無事に家を出る前にピアノを辞めることができました。

もちろん、先生に辞めるというのはわたしの役目。

こういうのホント言い出しにくいものですね…。

「上達してきてこれからだというのにもったいないですね」と先生。
娘を横におき「スミマセン」と頭を下げるわたし。

辞めると告げてからの1ヶ月、通うのもなんだか気まずいもんだし、最後のレッスンにはお礼のお菓子を持って行ってお世話になりましたとごあいさつも必要でした。

ピアノを習ったのは約3年、でもそれで楽譜も読めるようになり弾けるようにはなったから、よかったとは思います。

とはいっても、やはりピアノといえば連想モラエピがズラズラ~っと出てきます。

高級ピアノ教室に激安ピアノ(しかもモラ夫お金出さず)で参戦した分不相応な我が家。

3千円のテキスト代は出さないのにドレスを毎年買ってあげるモラ夫。

間に合ったのに自分の趣味を優先した最低な母と罵られたピアノ発表会。

クレーンでピアノつって搬入するとき近所から見物されたけど、ピアノを弾く娘はもういないモラハウス。

悲しいことにこれらが、ピアノ教室といえば真っ先にうかぶ思い出です。

そう、かわいいドレス姿で堂々とピアノを弾く娘に涙した発表会よりもね。

モラ夫の記憶捏造で発表会より自分の楽しみを優先したと怒られたエピソードはこちら↓

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