
モラ夫にたたかれてから数日後、声帯炎になり、声が出なくなった。
仕事を長く休むことになってしまったけど、モラ夫と正当な理由で話をしなくてもよくなったことは都合がよかった。
声が出ないのは、なんと二週間も続いた。
毎朝、起きて発声してみるのだがかすれ声さえも出ず、一生このままかもと不安になるほどだった。
それでも、じょじょに声が出るようになっていったので心底ホッとした。
1ヶ月ぐらいは、モラ夫はわたしにかなり気を使って過ごしていた。
いちいちわたしを上目づかいにうかがうような表情をつくり、「元気出して」と声をかける。
暴力をふるった張本人が、気が沈んでる被害者に「元気出して」というのもおかしいが。
2ヶ月もたつと、暴言無視こそないものの、ほとんど普通の態度でふるまうようになった。
モラ夫はメンドウなことやきついことを継続する能力がないから当然のなりゆき。
しかしこの時バカなわたしはまだ「このままおとなしいならやっていける!」と思っていた。
でもその希望に暗雲がたちこめてきたのはまもなくだった。
時々モラ夫が不機嫌そうにだまることが出てきた。
わたしは、「もしかしてまたひどいことをされるのではないか?」と怖くなる。
だけどまだ先日わたしが「出ていく」と言ったことが記憶に新しいのか、しばらくすると普通に話し始めるのでホッとする。
結局、恐怖支配はずっと続いていて、なかなか心の平穏にはほど遠い毎日だった。
半年ほど過ぎたそのころからまた、モラ夫の恐ろしい不機嫌を感じるようになり、いつ爆発するのか、怖くてたまらない日々を過ごしていた。
「お金もじゅうぶん渡すから。住宅ローン減税分の戻りも口座に入れたから!」
あの時そう言って渡してきたキャッシュカードも、ある日お金が足りないからキャッシュカード貸して、と言って渡したっきりそのまま。
そして忘れもしない5ヶ月目。
ついにモラ言動完全復活!
上から目線の問いかけばかりの世界一苦痛な雑談をしてくる。
さらには夜の誘いまでしてくるようになった。
そして半年後。
「県外に転勤が決まったから、家族みんなで引っ越ししない?」って…。
半年前のあの時、「オレは転勤して単身赴任するから、この家にのびのびといていいんだよ」と言ったことを忘れてるのか?
「単身赴任だと生活費がきびしいからね~」って、ほんとバカなのか、なめてるのか?
このころにはすっかりモラ夫の態度は以前と同じようになり、わたしに気を使う言動はなくなっていた。
だからといって、モラ夫と二人ならともかく、子どももいる家庭では、やっとふつうの会話をするようなまともな雰囲気になった生活を、また暗い雰囲気にするのが耐えられないと思った。
「お金かかるけど、子どもの転校はさせたくないからパート増やすから。」
単身赴任をしてほしい理由として、わたしはそう答えるのがせいいっぱいだった。
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