コンコルド効果って聞いたことありますか?
一昔前、夢の超音速旅客機として英仏共同で開発・運行されたコンコルド。
採算が取れないことは途中でわかったのに、それまでの開発費用や時間を考えると、ムダにするのが惜しくて後戻りはできないと判断し突き進みました。
結果として、赤字が大きくふくらみ莫大な損失を出して倒産したのです。
それまでにかけてきた時間と費用がもったいなくて、引くに引けなくなったわけですね。
途中でやめておけば、損失が小さくすみ、新しい開発へとコストを回すこともできたのに。
この商業的失敗を由来として、このような心理状態をコンコルド効果とよぶようになりました。
生きていると、少なからずコンコルド効果に翻弄されることはあります。
ギャンブルなんかがいい例です。
たとえばパチンコやくじなど。
一万円負けたところで止めればよかったのに、根拠もなく「もうすぐ当たるはず」だと自分に言い聞かせてさらに投資してしまう。
「だって次は当たるはずなのに、今やめたらもったいないじゃん?」って。
でも多くは自分のリミットを越えてもリターンはありません。
道に迷った時なんかもそう。
違う!と気づいたらすぐにいったん確実な地点まで戻ればよいものを、こんなふうに思いがち。
「そこからだいぶ進んできたのだから、戻るのはもったいない。
ここでちょっと右に曲がってみれば近づくはず。
大丈夫、方向はまちがってない。」
そしてさらに迷い続け、もうどうにもならなくなった時には、来た道を戻るのはあまりにも遠くなっていて、約束の時間に遅れるはめになってしまうことも。
モラハラから逃げられない原因のひとつにも、このコンコルド効果の心理が考えられます。
なんか違和感を感じる瞬間があったとしても。
「せっかく縁あって結婚までしたのだから、お互い(お互いじゃないとは知らず)辛抱もしないと。」
子どもが産まれて、ますますモラハラが悪化し、小さな違和感は明らかな暴言に変わっていたとしても。
「せっかく子どもが産まれて家族が増えたんだから、幸せになるはず。」
生活費も出ししぶるようになり、夜モラが苦痛になってきたとしても。
「せっかくここまで耐え忍んできたんだから、今までの苦労をムダにしたくない。
家も買ったし、子どもが自立するまであと少し。
今さら離婚なんてもったいない。」
こんな思考で、これまでの努力や我慢が惜しく、また「苦労はきっと報われるはず」と思いこんでしまうんです。
事態が好転することはないと第三者に言われ、自分でもそうじゃないかなと分かっているのに。
わたしも兄に言われました。
「これまでやってこれたんだから、あと少しがんばれないのか?子どもが成人するまでもう少しじゃないか。」
これまで大丈夫だったからこれからも大丈夫じゃない!
これまで耐えられたのだからこれからも耐えられるわけじゃない!
今までガマンしたのに、そのことがもったいないわけじゃありません。
もちろんこれまでのコストはもったいないですが、これからのコストはもっともったいないんです。
株やFXの世界では損切りテクニックは常識です。
「損失を許容できるのはここまで」と決めて、損切りを事務的に実行しないと大損失を食らって退場となり、もう再チャレンジする余力は残りません。
人間関係だって損切りがだいじ。
もちろんモラハラ人間に関わらないことがいちばん幸福ですが、もし親密になってからモラハラされてると気づいたら、それまでのもったいなく思えてしまう時間を、執着を振り払って、早めに損切りしましょう。
ここでモラ友が市役所でモラハラ別居相談した時に聞いたという話を紹介します。
80代のおばあさんが、90代のおじいさんから殴られて裸足で逃げだして離婚したそうです。
80代で?って思いますよね。
でもその方、
「これから自由な人生楽しむわ!」
と言ってたそう。
いっぽうモラ友はその時まだ30代だったので、
「あなたは早く逃げて本当に幸運だけど、たとえ60代でも70代でも早く気づいてよかったですねと思います。
あなたは30代なんだから、結婚もモラハラもなかったことにしてどれだけでも人生やり直せますよ。」
と言われたそうです。
今までモラハラに耐えたウン10年が水の泡、もったいない、努力がパーになる?
いいえ、それはまさにコンコルド効果。
採算が取れないとわかったモラ夫にそれ以上の投資(犠牲・奉仕)をするのは破滅への道を進むことになります。
乗りかかった船を降りれない、乗りまちがえたバスで「降りま~す!」と言えない。
わたしもそんな性格です。
結婚まちがえたなんて言えないし、ダンナがおかしい人だなんて知られたくない。
でも、「一時の恥」を覚悟して受け入れ、「その後の長~い人生の安心安全」を手に入れる方が何千倍もいいに決まってます。
ガマンの先に幸せがあるとは限らないということ、モラハラ渦中の人はよく知っておいてくださいね。
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