子どもが戻らないまま婚姻費用請求調停開始

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子どもの反対で離婚調停を断念

弁護士さんは、数回の電話のやりとりで早々にモラ夫とは話し合いができないと判断し、婚姻費用分担請求調停をすると言ってきた。
通常、離婚調停と婚姻費用分担請求調停は一緒に行うとのこと。

子どもの一人がモラ夫と暮らしている以上親権を取るのがむずかしいかもしれないけど、親権が取れなくても親子じゃなくなるわけではないので、親権にこだわらず希望通り離婚要求をしていくのも手です、と弁護士さんは言う。

でも、子どもが一生懸命がんばって両親の離婚危機を食い止めようとしているのに、わたしがかたくなに離婚をおしすすめるのは傷つけることになるのではないかと危惧した。

窓の外は青空

ほとんど顔を見ることもできなくなり、話もできない子どもの様子を知る機会は、学校の先生からときどき届くメールのみになっていた。

元気に勉強も部活もがんばっているという内容とともに、面談で個別に話をしたときの報告もあった。

「離婚はしてほしくないし母に帰ってきてほしいと言ってました。
子どもなりに、自分ができる精いっぱいのことをしようとがんばる姿は立派です。
とはいえまだまだ子どもです。本当は母にあまえたい思いをガマンしていると思います。」

すっかりわたしに会いに来なくなった子どもだけど、帰ってきてほしいと願ってくれている。
それなのに離婚に向けて突っ走ると、自分は見捨てられたと絶望させてしまうかもしれない。

弁護士さんに、離婚に少し時間がかかってもいいので、子どもが理解してくれるまで待ちたいと希望した。

弁護士さんの立場としては、離婚したいというクライアントからの依頼を早期に成功させるために一気に調停を起こしたいし、それがセオリーだろうとは思った。

けれど、弁護士さん。もちろん子どもの気持ちが第一だと同意してくれ、現状では親権を取るのも難しいので、離婚については急がずに協議を続けると言ってくれた。

ただ、離婚が成立するまで長期戦になるので、一刻も早く婚姻費用請求を起こす必要があるとのことだった。

わたしの息子といってもおかしくないほど若くて、最初はちょっと頼りないという印象の弁護士さんだったけど、つねに私と子どもの別居の生活費の心配をしてくれてありがたかった。

婚姻費用を請求するけど金額が折り合わない

家を出て一ヶ月、婚姻費用請求の調停を申し立てた。

弁護士さんから、裁判所とモラ夫と日程の調整をしたところ、調停の日はそこからさらに一ヶ月後に決まった。これくらい時間がかかることがふつうだとのこと。

そのため、まだまだモラ夫からお金をもらえるまでは時間がかかることになった。
ある程度想定して貯金をしていたし、実家が心配して当面の生活費を送ってくれていたので生活は大丈夫だった。

そして調停の日。

モラ夫と会うことはぜったいにできないと弁護士さんには言ったが、やはりわたしも行かないといけないとのことだった。

ただし、受付の時間も待ち時間の部屋も別々にしてあるし、話し合いは調停員がいる部屋にかわりばんこに入室するので心配はないとのことだった。

といっても、いざ家庭裁判所に行ってみると、受付にはじまり、エレベーターや階段や廊下、トイレなど、バッタリ会いかねない共用の場所がいっぱいあるように見えた。

指定された待合室に行くと、弁護士さんがすでに来ていて、緊張しているわたしに今日の流れを教えてくれた。
ほかにもたくさんの人が待っていて、こんな場所で知り合いに会ったら最悪だなと考えたりした。

しばらくすると、モラ夫が来たということが伝えられ、いよいよ調停員の待つ部屋に弁護士さんといっしょに入室した。

調停員さんは、事前に提出されている書類を見た上で先にモラ夫と話を終わっていた。

男性と女性の調停員さんのうち、男性の調停員が、モラ夫がこちらの要求にはおよばないものの当初主張していた金額より多く出すと言っていると告げ、
「彼も反省しているし、お互いの提示金額の間をとったくらいの額まで出すと言っているので、このへんで合意したらどうですか。」
と言ってきた。

さらに、ニコニコしながら、
「自分は調停員として何組もの事例を見てきたが、縁あって夫婦になったのだから、できれば修復をしてもらえるようじっくり話をしていきたいと思ってます。」
と、モラルハラスメントを知らない人のようなことを言ってきた。

いっぽうで、女性の調停員さんはわたしの目を見つめ、首をブンブン横に振りながら、イヤイヤイヤ・・・と男性調停員に賛同しない表情をしていた。

わたしは発言を求められるまで口を開かないと決めていたので、助けを求めるような目で弁護士さんを見た。

弁護士さんは、ピシャっと発言した。

「その金額はとうてい承服できません。こちらはあくまで最初の要求通りです。
ただ、2人の最新の所得情報と、子ども一人の養育の場合の算定表で計算してみるのでいったん持ち帰ります。」

こうして、本日はなにも決まらず、翌月に2回目の調停を行うことになって終了となった。

ただ、すでに2ヶ月以上経過した別居生活の生活費の一時金を早急に払うべきという調停員さんの提案で、モラ夫から翌日20万円が振り込まれた。

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