現状維持バイアスでずるずるとモラ夫との結婚生活を続けてしまうあなたへ

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ピサの斜塔

モラハラ被害者の現状維持バイアスとは

「バイアス(偏見・先入観)」ということばや概念はよく使うと思いますが、「現状維持バイアス」って知ってますか?

「Status Quo Bias(ステイタス・クオ・バイアス)」としてアメリカではよく認知されている心理的概念です。

現状バイアスとは、「人は現在の状態を維持する方向にはたらく心理的概念を潜在的にもっている」という心理的効果。

モラハラがつらいし、離婚がベストとわかっていても、どうしてすぐに動けないのか?

まずは逃げる勇気やきっかけがないということ、次に離婚したあとの生活が今より本当によくなるのか不安という理由が考えられます。

モラ逃げして、晴れて別居や離婚というライフステージに移れたとして、そのときの生活水準は、世間からの目は、子どもたちの様子は、、、はたしてほんとうに今よりよくなるのか?

モラハラ被害者は、「現状維持バイアス」を強くもっている傾向があります。

行動を起こして「何かを得るかもしれない」という期待より、「何かを失うかもしれない」という不安が大きすぎるんですね。

さらに、これまで結婚生活へ費やした努力や時間が惜しくて、いつかむくわれるはずと信じている「コンコルド効果」も加わると、もう未来を変える行動なんてできっこないですよね。

わたしが陥っていた現状維持バイアス

わたしもモラハラに気づいてからも長く現状維持バイアスの思考パターンに支配されていました。

もしわたしがモラ夫に反逆したとして、とてつもない報復を受ける可能性が高いだろうし、逃げるためのクーデターを起こし大混乱するのはしかたないとして、そのあとの生活は本当に前よりよかったと思えるものになるだろうか?

経済的DVを受けているとはいえ、持ち家に住めてちゃんと収入を得る仕事をしている夫がいる暮らしより生活水準は下がる。はたして困窮はしないのか?

子ども関係の知り合いや親兄弟親戚との関係は悪くならないか?さらに子どもが結婚するときに相手の親から悪いイメージをもたれないか?

いろいろと悪くなったパターンを想像するにつけ、結局はこう思うのです。

「やっぱ危険な賭けよね。
離婚して、こういうはずじゃなかった、なんてなりたくないし。
これまでなんとかやってきたんだし、現状維持ならこれからも耐えられる。」

そして、執着してやまない住環境のことばかり考えるのです。

モラ夫から逃げるということは、もうこの家に住めないということ…。

当時住んでいた家は、知らない場所に買った土地に建てた家でした。

設備はショールームを回って選んだし、建築中も何度もおさな子を連れて大工さんに差し入れに通った愛着のある家。

家ができたときは子どもたちはとても喜びました。

だれも知らない町になじめるか不安だったけど、お隣さんや町内会長さんがとても歓迎してくれました。

引っ越してすぐ小学校に入学する子どもを、うわさを聞いたご近所さんがいっしょに登校しましょうと誘ってくれました。

わたしより先に子どもが下校してしまったとき、お隣さんが家に入れておやつまで与えて預かってくれたこともありました。

通学路の途中の美容室で子どもがトイレを借りたとき、「はじめて寄ってくれたね!」とおばちゃんからもらったというたくさんのおかしを抱えて帰ってきたこともありました。

イヤイヤながら避難訓練やバレーボール大会に誘われ参加したこともあったけど、町内の人と仲よくなれて子どももかわいがってもらえ、ここが子どものホームタウンになるのかな~と実感していたものでした。

そんな愛する町、新築から住んだ家を、出て行かなければならない。

引っ越した先はモラ夫はいないけど、今のように環境のよい町ではないかもしれないのに。

お隣さんが変な人かもしれないし、子どもたちも今までの家がよかったと泣くかもしれない。

そういう、モラハラ以外での現状が変わることに不安ばかりうかんで、「だったら現状維持でもうひとふんばりがんばっていこう…」と結論づけるのでした。

ジャマな現状維持バイアスの外し方

では、現状維持バイアスを外すにはどうしたらいいのか?

それはやはり、第三者からのアドバイスを受けるのが有効です。

現状維持バイアスに陥っているなかでは、現状を変えたほうがいい・変えようと悩んでいても結局は自分の内から湧き出る現状維持バイアス思考に支配されます。

だけど、第三者から見ると、「どう見ても現状が悪すぎるのに変えてもっと悪くなるってたかがしれてない?」ってなるかもしれませんからね。

友だちに相談するのはもちろんいいけど、現状維持バイアス思考をはらんだ話し方で相談されても、「でも逃げるべき」なんて無責任なこと言えないし、友人はあなたによりそった回答しかできないですよ。

「モラハラつらい」
「早く逃げなよ」
「でもムリまだガマンする」
こういうやりとりばっかだと、友人もうんざりして離れていってしまいます。

だからやっぱり、行政の相談窓口や弁護士、カウンセラーなどの第三者に相談するのがおすすめです。

「モラハラから逃れたいけど、今満足している○○が悪くなった場合の不安が大きい」
というふうに具体的な相談をすることで、想定パターンと対応策を示してもらえるから、悪くなったら…という漠然とした不安が減りますよ。

わたしの場合は、主にお金のことが不安でしかたなかったですが、当然よゆうはないとはいえ生活には困らないということがわかって、とても安心しましたよ。

といっても、住環境のことや子どもの人間関係のことはあとでしかわからないけどね。

賃貸だったらまた引っ越せばいいから、一発でいい住まいを探そうなんて気合入れなくてもよいと思いますよ。

そうそう、「家はわたしがほしい、モラ夫が出て行けばいいのに」と思う人も意外と多いんですよね。

でも、家でもマンションでも修繕費や固定資産税など維持費がかかるし、ローンが残ってても完済していても、財産分与となるとけっこう負担がかかるものです。

だから、どうしても家にこだわる場合は、もし自分が住み続ける場合に費用負担の面でこの先ずーっとオトクなのかどうかを見える化すれば、答えが明確になると思います。

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