バレンタインデーが近づくと、結婚してはじめてのバレンタインモラを思い出します。
30歳を過ぎた男にとって、妻からのバレンタインチョコがそんなに重要なものとは思っていなかったわたし。
結婚してはじめてのバレンタインのころは、妊娠中でお腹も大きくなっていました。
県外の転勤についてきて、勝手のわからない孤独な土地ではじめての妊娠。
社宅は街の中心部に中途半端に近くて、駐車場は遠くの立体月極しか借りられず、ふだんの買物にはちょっと不便な住宅街に住んでいました。
冬は寒くてお腹も張るし、遠くの駐車場やスーパーまで歩いていくのもつらくて、なるべく外出せずに過ごしていました。
そんな状況だったから、バレンタインのチョコレートは、今年はいいかな~と思ってしまいました。
もう結婚してるし、プレゼントといっても同じ家計からお金を使うことになるし、会社からも義理チョコをたくさんもらってくるだろうし。
そもそもチョコレートはあまり好きではないからと、去年の義理チョコはほとんどわたしにくれたっけ。
なので、いつもどおりの夕飯をつくってモラ夫の帰りを待っていました。
「ただいま~」
と、ゴキゲンに帰宅したモラ夫。
予想どおり、会社でもらった義理チョコをおみやげに持って帰ってました。
そして、わたしに向かって、
「チョコは?」
と言いました。
「え?ごめん、チョコ買ってないよ。出かけられなくて。」
ちょっとあせって言いわけしたけど、もう取り返しがつきません。
モラ夫は高速で目がつり上がり眉間にしわが入り鬼の形相に変わりました。
「お腹が張るし、トイレも近いから出かけるのがつらくて。
それにチョコそんなに好きじゃないって言ってたし、
どうせ会社でもらうかなと思って。
本当にごめんなさい。」
必死で謝ったけど、ムダでした。
「夫にチョコもあげないなんて信じられない!
もうオマエには、一生、何もあげないからな!」
大激怒したモラ夫は、ごはんも食べず、その後口を聞いてくれませんでした。
翌朝、モラ夫の不機嫌と無視が怖くて、モラ夫が出勤するまで寝たふりをしました。
モラ夫が家を出てから起き出したわたしは、買物にいくために身支度をしました。
バレンタインの翌日にまだチョコが売ってるかどうか心配しながら…。
この土地に引っ越して来てから、つわりで寝込んでいる間に賃貸マンションから社宅への引っ越しがあって、家のまわりのことをあまり把握してなかったのです。
どのバス停から乗ればいいのかもわからないから、寒い中大きなお腹で15分ほど歩いてデパートに行きました。
幸いまだチョコレート売り場があったのでバレンタインチョコを買い、紳士服売り場で1万円ぐらいのネクタイピンを買いました。
どうにかバレンタインのプレゼントを確保して、心臓バクバクしながらモラ夫の帰りを待ちました。
そうして2月15日、1日遅れのバレンタインプレゼントをモラ夫に贈呈。
モラ夫は「ありがとう」とちょっと笑って少し機嫌をなおしました。
このころは、まだまだ「モラハラ」という言葉を知りません。
モラハラも小出しの時期だったし、わたしは新婚ハイ冷めやらぬ間の、はじめての妊娠で心身不安定だったこともあり、このバレンタイン事件もたくさん起こる日々のできごとのひとつとして過ぎていきました。
だけど、この一件以来、毎年バレンタインが近づくと緊張して、ちゃんとしたチョコレートとプレゼントをしっかり用意するようになりました。
ある年は出張でちょうどバレンタインにモラ夫がいないこともあったけど、後で何を言われるか怖いので、出張先のホテルに2月14日を指定して宅配便でプレゼントを送りました。
モラ夫は誕生日やクリスマスなどのイベントに異常にこだわります。
しかしながらバレンタインにまでこんなに固執するなんてほんとうに鬱陶しい!
「プレゼントをしたいと思う気もちだろ、気持ち!」
と言って、わたしの思いやりのなさ、気づかいのなさを責めますが、
結局は、
「オレを尊重してない!バカにしやがって!」
という怒りがわいてしかたないんですよね。
常に夫を称賛する言葉を発しろとことあるごとに言われるし、感謝と尊敬を態度とモノで示さないと自尊心が満たされないんでしょう。
めんどくさい夫へのバレンタイン儀式がなくなって、別居生活は気楽です。
今年のバレンタインはスタバのチョコフラペチーノでもデリバリーしようかな。
わたしも食べたいから♪
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