娘が小5のころのことです。
首のうしろの髪のはえぎわ近くに、小さなイボのようなものができていることに気づきました。
髪をとかすときなどに、ブラシが強く当たると「痛っ!」となるのです。
それはとても小さいゴマぐらいの大きさの、イボというかなんというか…。
皮膚の付け根のところはちょっとくびれて細くなっているので、ほんとうにピッと引っ張ったら取れそうな感じなんですね。
だけどもちろん、エイヤッ!と取ってみるとか、そんなことはできません。
そして同じようなものが、ヒザの裏側にもできています。
そっちは何も引っかけたりすることがないから支障はないようだけど、同じようなイボだから2つまとめて簡単に取れないかなと思って皮膚科に連れてきました。
皮膚科の先生に診察してもらうと、
「とくに問題ないイボだけど、クシを引っかけたりすると痛いし、大きくなるのも困るから取ってもいいですね」
と言われました。
「ただし、子どもだから切除は麻酔してレーザーがいいでしょうから、それができるところを紹介しましょう。
費用は2万円ぐらいでしょうね。」
2万円かぁ。高いな。
でも、こういうのって小さいうちに取っておいた方があとも残らなくていいし、実際ちょっと引っかけてイタッ!てなるのはけっこうつらいもの。
女の子だし、ヒザ裏のイボもあわせて早めに取ってあげたいと思いました。
だけど、わたしはモラ夫から経済的DVを受けており、食費にすらならない金額しかもらってないのに、医療費2万円を出すのはきびしいです。
なので、モラ夫にお願いすることにしました。
モラ夫は子どものためにならじゃんじゃんお金を出します。
成長してすぐ着れなくなるのにブランド服、もうじゅうぶん持っているのにバッグやスポーツ用品など、とにかく見栄えがして形に残るものは頼んでもないのに買い与えます。
だから、イボは娘の美容にもかかわることだし、なにしろ医療費だし、なんの心配もなくモラ夫にイボのことを話しました。
すると、驚くような反応が。
「病的なイボじゃないわけね。
は? 2万?
じゃ、取らなくていいよ。」
高いから取らなくていいと言うモラ夫の答えにビックリして、もう一度説明しました。
「え、でも、髪をとくのって毎日のことで、うっかり引っかけたら痛いのよ?
イボって大きくなると思うから、そしたら見た目も気になってくると思う。」
しかしいくら説明しても、2万円は高すぎるから出せないの一点張り。
結局、消耗品やメンテナンス代や月謝や医療費など、戦利品として目に見えるものでも子どもが喜ぶものでもないからお金を出したくないんですね。
それでも、子どもの不安や不満を取りのぞいてあげたいのが母ごころ。
わたしは自分のパート代や生活費の節約でやりくりしてなんとか2万円をつくりました。
前に行った皮膚科に紹介状を書いてもらうと紹介状料金がかかるので、その時に聞いた紹介先のクリニックに直接受診することにしました。
2万円を持って、ちょっと美容外科チックなレーザークリニックへ。
受付で、今日受診して実際の施術は数週間後しか予約が取れないと説明されました。
しかたないなと思いつつも診察を受けると、竹内力みたいな威勢のいい先生が娘の2か所のイボを見て、
「お母さんアレでしょ? パパっと取っちゃいたいんでしょ?」
と言いました。
わたしはちゃんと2万円を用意していたので、
「今日できるならぜひ!」
と即答しました。
すると、先生はあっというまに機器をあやつって、ちょちょいっとイボを取ってくれました。
あまりに早ワザすぎて、娘がこわがるスキもなく終わりました。
そして会計に呼ばれると、診察代はなんとたった2千円程度…。
高額なレーザーじゃなくて液体窒素の保険診療だったのか知らんけど、こんなラッキーな拍子抜けってある?とうれしくなりました。
これ以来、もうモラ夫に「子どものためにどうこうしたい」とか相談することをやめました。
子どもの体のことは、わたしが判断して行動したほうがいい結果になると体感したからです。
オマエは子どものためを思ってないとか、母親失格とか、そういうことばかり言うくせに、お金がかかることになると自分尻ごみやん!
モラ夫と別居してからは、こういう「子育てについて意見のちがいに見せかけた経済的制裁」がないので精神的にすごくラクになりました。
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