どうせモラ夫とはもうすぐグッバイだし!
そう決めてから、モラ夫がちょっとした意地悪や嫌味を言ってきても耳がちくわになったように右から左に聞き流して気にならなくなった。
反応がうすいから調子狂うのか、モラ夫も少しおとなしくなり、目に見えたモラハラはかげをひそめていた。
モラハラがなくなると、脱出する理由がない?
「ずっとこんな感じならやっていけるかも……。」
以前のわたしなら、そう思ってしまったにちがいない。
でも、もうあのころのわたしではなかった。
モラハラ気質は一生治らないと知り、
それでもモラハラを受けないように対処法を使って結婚生活を続けていくのか、
もしくはそんなモラ夫にケリをつけて新しい人生を歩みだすのか、
選択肢は2つしかないと分かり、
わたしは後者を選んだんだ。
だけどね、
脱出の日までまだ何ヶ月もあるのに、なにごともない日々が続いていると、こつぜんと妻子がいなくなる理由がモラ夫には分からなくない?
いやモラ夫はどうやっても自分に落ち度はないと主張するだろうけど、モラハラが少なくなってたのなら逃げる必要なくない?ってまわりに言われない?
そんな心配もチラッとよぎった。
だけどなにしろモラ夫だから、平穏な日々が長もちするはずがない。
脱出計画まであと2ヶ月というころ事件は起こった。
モラ夫から久しぶりの長時間説教
またしても年に一度のお楽しみライブの日がやってきた。週末なので、モラ夫が帰省するかどうか早く把握したくてたまらなかったが、なにせモラ夫は自分の予定を明かさない。
もしモラ夫の仕事の都合で家に帰ってこない週末だったら、わざわざライブに行くことを伝える必要はない。でも、もし帰ってくるのなら、なぜ前々から分かっている予定を言わなかったんだと怒るに決まってる。
…どっちだ?
ところが、なんとライブ翌日のファンミーティングの参加権利が手に入り、しかもその日に子どもの習い事の発表会がかぶることが分かった。
なんという不運!
子どもの発表会なら必ずモラ夫が帰ってくる。もちろんわたしは発表会を見たい。
だけど、長年のファンだったアーティストに会えるチャンスをあきらめることはできない。
幸い、発表会とファンミは時間差があるので、急いで移動すればどっちも参加できる。
不機嫌になるのはまちがいないけど、どうせもうすぐオサラバだし、業務報告のようにモラ夫にライブとファンミと発表会のスケジュールを伝えた。
たしかに事前に予定を伝えた。
なのにモラ夫は、当日は子どもの手前うっすら不機嫌オーラ程度でガマンしていたようだったが、こらえきれなかったのだろう。
翌日、単身赴任先から、ふだん子どもが寝てる時間に激怒の電話をしてきた。
「子どものだいじな日に自分の楽しみを優先してなんなんだオマエは! 去年に続いてこりずに今年もか!」
「行っていいと言われたって? そりゃ言うさ、それでも行くのをやめるのが常識だろ!?」
1時間以上、激情して怒鳴ったり、突然落ち着いたトーンで冷たく見下しクドクドと説教してみたり。
恐怖、恐怖、恐怖……
「だまってないでなんか言えコラー!!」
「ふざけんなテメェ!!」
と、モラ夫の興奮が止まらずスマホから煙が出そうなくらい。
わかってはいたけど、もうほんとムリ。
こんな拷問耐えられる人っているの? いや今までのわたしだよ!
さんざん罵り人格まで否定するようなことを言いながら、
「常識がなくて嫌われ者のオマエのためにこんなふうに叱ってくれるのは俺様だけだよ、感謝するべき」
とか言うわけですよ。
クレイジーモラ夫。ほんとムリ。
あんまり長時間ママがリビングに戻ってこないので、まだ起きていた娘がわたしを呼びにきた。ケイタイから声もれするパパの説教と泣きながら震える手でスマホを握る光景を見られてしまった。
ちょうどいいタイミングなので、
このモラハラ事件で傷つきすぎてモラ夫と向き合うことはできなくなり、家を出て行った
と関連づけて認識してもらうことにした。
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